国土交通省は、元請企業が下請企業の社会保険加入を指導するための取り組みを示した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」をH24.7.4付で制定した。同年11/1から施行。

 主な内容は、建設工事における社会保険の加入指導に関するもので、従来までは直接公共工事に参入しない業者については社会保険の未加入が工事の受注において直接問題となる場面はありませんでしたが、今後は、行政および元請企業からの指導が行われることになり下請企業にとっては事業運営に大きな影響がでそう。

1.元請業者の役割と責任

 元請業者は、建設工事について広範な責任と権限を持つことから社会保険に未加入の下請業者には加入するように指示、協力するとともに遅くとも平成29年以降は社会保険未加入(適用除外を除く)の建設業者を下請業者に選定しない取り扱いをすべきである。

2.下請業者の役割と責任

 下請業者が本来的に社会保険への加入義務を負っていることから下請業者自らが積極的にその責任を果たす必要がある。特に雇用関係にあるものを、労務経費削減のために請負契約とすることは偽装請負として職業安定法に抵触するため留意する必要がある。下請業者は元請業者の指導に協力することが求められる。これは、元請業者の指導の相手方となる場合のみでなく再下請業者へ指導が行きわたるように協力することも含む。

特定社会保険労務士 中山 雅継